秋も深まりつつある10月28日(土)に新潟県歯科医師会館講堂におきまして「空穂の会」学術講演会が行われました。今年度は鶴見大学同窓会新潟県支部が主管という事もあり、鶴見大学より口腔細菌学教室教授 前田伸子先生をお招きし講演をして頂きました。 「エビデンスに基づいた口腔ケア製品の開発を目指して」という演題のもと、口腔内には数百種類以上もの細菌を中心とした微生物が存在し、その数はプラーク1mgあたり1億個に及ぶ。これらの多くは病原性がなく、むしろ外来の病原性微生物の定着を阻止するなど口腔の健康を維持するために必要なものであるが、う蝕や歯周病などの口腔感染症の原因となる細菌も含まれている。とくに歯周病に関しては免疫学や分子生物学の発達とともに歯周病関連菌による免疫応答や生態防御のメカニズムがさまざまな臓器に影響を与える可能性が高いといわれている。そのいくつかとして心臓血管系疾患(冠動脈性心疾患、細菌性心内膜炎)、呼吸器感染症、糖尿病、低体重児早産、自己免疫疾患などが挙げられる。 その中で動脈硬化に代表される冠動脈疾患は加齢とともに発症しやすくなる代表的な生活習慣病であるが、歯周病からくる歯性菌血症、その結果形成されたバイオフィルムが大きく関与している可能性について、反応障害説を用いて説明があった。これは動脈硬化の発症に関わる危険因子により障害を受けた内皮細胞に接着分子が発現し、ここに炎症・免疫担当細胞が集積、とくに単球が内皮細胞間隙に進入してリポタンパクを取り込んで泡沫細胞に分化する。泡沫細胞はコレステロールを蓄積し細胞外繊維組織の増殖、血小板凝集、石灰化などによって動脈瘤を形成する。この動脈瘤の中から歯周病関連菌のDNAが分離されたことから、歯周病とこれらの疾病との因果関係が決定的なものになった。このようなことから単に歯周局所の病変にとどまらず全身状態の健康に悪影響を及ぼす可能性から、従来以上にその予防・治療に力が注がれている。 引き続き同教室の2名の先生から講演をして頂いた。はじめに口腔細菌学を専攻されている大学院生、角田衣理加先生により鶴見大学付属病院口臭外来の紹介と来院患者の内訳とニーズの高まりについて、そして口臭外来で行った細菌学的検討の結果の報告があり、その後、同教室講師 大島朋子先生から歯周病の予防薬として、従来の抗菌薬や消毒薬ではなく天然の素材(レモン、ペパーミント、ティートリー、ラベンダー、ココアなど)を用いた口腔ケア製品の開発を目指してすすめた研究についての講演がありました。 講演会終了後、ホテルイタリア軒にて講師の先生方を囲んで懇親会があり、各大学の同窓会支部の活動報告や意見交換が行われました。当日お忙しい中にもかかわらずご出席頂いた先生方、ならびにこの会の開催にあたってご尽力頂いた各役員の方々に心より感謝申し上げます。 文:鶴見大学歯学部 |
会員発表 横山 茂 19回生 三条市開業 |
| 4月15日(土)午後3 時よりホテルイタリア軒にて神奈川歯科大学新潟県支部同窓会(稲岡会)の第26回総会ならびに講演会が開催されました。平成17年度の各報告がなされ、本総会の大事である支部長選挙が行われた。稲岡会支部長の任期満了による選挙の結果は、本学3回生中川賢治先生が推薦され満場一致をもって再任された。母校、同窓会員に対する思いは会員中随一であり、円満な性格、事務処理のきめ細かさは追随できるものはいない。 再任された中川支部長はスリムになられ、久しぶりにお会いする多くの同窓会員は、学業と空手道に精励されておられた学生時代の容貌を彷彿とさせられた。平成18年度事業計画、予算案が満場一致で承認された。喜ばしいことに、2名の新入会員の報告があり、本会活性化に繋がるとおおいに期待して歓迎したい。 この後、本学19回生の横山茂先生に会員発表をしていただいた。入江専務の猫なで声での講演依頼で、先生は「自然にというか必然的にというか承諾してしまった。心温かな同窓生の中なので、私にあるものを語ればよいと思った。エビデンスに基づいて臨床を構築するなどとてもできたものではないが、多くの人を通して真似て学んだことを臨床で具体化したものを発表した。そしてその演題は、[日々の臨床と私を支える聖書の言葉]とした。主に口腔内だけ重症な症例(重度歯周炎、咬合崩壊、パラファンクションを伴う重度歯周炎等)を取り上げたが、長期にわたってメインテナンスをしてゆけるのかというと難しいと言わざるを得ないものであり、今後の課題である・・・」と言っていた。 日々の臨床を遂行してゆくことは、多くの方々からの指導や教育、助言、援助、協力がなければできないが、私を根底から支えるものは、聖書の言葉である。 大学に残って仕事をするには知性に欠け、勤務するには社交性もない、おまけに病弱であった。自分の中に頼れるものが何一つない状態での開業であった。 イザヤ書58:12、マタイによる福音書21:42、イザヤ書43:4、マタイによる福音書9:10〜13によって、歯科医師として人の破れを繕うものと病人を診ることの自覚と日々のチャレンジ、神は見捨てないことと、神の目から見れば誰も皆高価で尊いことの理解が私を力強く支えている。この言葉を握り締めて離さない。そんな脳天気なことを口ごもり、内村鑑三著「後世への最大遺物」を以って講演を結んだ。 恥は我がもの、栄光は主のもので完。 |
上記学術講演会が8月27日(土)に日本大学歯学部・石上友彦教授をお招きし「磁性アタッチメントの補綴臨床」についてと題して県歯科医師会館で開催された。 磁性アタッチメントの開発上の経緯から現在使われているマグネットの基本的な特徴、また特に磁性アタッチメントの歯に対するやさしさ、水平方向の力に対するやさしさについてお話があった。 その後、臨床的な事項について丁寧に説明をされ、キーパー設置上の注意点や支台歯形成上の注意、テンポラリー、歯肉コントロール、印象採得、ガム模型の作成等、特に磁性アタッチメントの維持力を保持するためにキーパーの取り扱い上の注意として決してその形態を変えないように酸化膜はバフ研磨程度で行うようにとのこと。また近年はキーパーの支台歯への取り付けが鋳接から接着性レジンでの接着にかわってきたこと。これでMRIでの検査のときに画像に影響を及ぼすキーパーを取り外せ、その後の再度の設置ができるようになったこと。実際には上顎7番あたりにキーパーがあっても、顎関節部は影響があるが脳の診断上問題となるような画像上の影響はないとのこと。またオーバーデンチャーは前歯部での支台歯辺縁部のトラブルをなくすために根面板のところに床縁をおく。マグネットの部分はメタルハウスにしたほうがよい。年二回のリコールは必ず行うことなどをお話された。 またクラウンブリッジ用の磁性アタッチメントの利用としてマグノテレスコープについてや先生の専門とされている顎顔面補綴処置とインプラントについてと多岐にわたり講演をいただいた。 文:(愛知) 薄田 昭 |
特別講演 嶋倉道郎先生 奥羽大学歯学部歯科補綴第一講座教授 演題「最近の補綴治療の動向」 |
4月23日午後3時よりホテルイタリア軒にて神奈川歯科大学同窓会新潟県支部支部(稲岡会)の第25回総会ならびに講演会が開催されました。 本学3回生中川支部長の挨拶に始まり、平成16年度の各報告がなされ、平成17年度事業計画ならびに予算案が満場一致を以て承認されました。 総会終了後、奥羽大学歯学部歯科補綴第一講座教授、嶋倉道郎先生により、「最近の補綴治療の動向」と題して講演をしていただきました。 講演内容は、支台築造、チタン、CADCAM,レーザーという最近補綴領域で話題となっている新しい材料や器械に関して具体的な使用方法を紹介していただきました。 支台築造に関しては、歯根破折の対策として築造材料(メタル・レジン・ファイバー補強型プラスチック)や接着材料(レジンセメント)やコーピングによるものを話されました。 チタンに関しては、錆び難い・軽い・豊富な資源・安価等で、貴金属主体の現在の歯科用金属に比べ安定供給されるという利点がある一方で、溶融温度が高い・高温での酸化や活性化・比重が小さい・反応層の存在・化学的活性強い・熱伝導率が低いことより、加工が困難であるという欠点もあるとのことでした。 金属加工法においては従来のロストワックス法に変わるものとしてCAD/CAM(コンピューター支援による設計と製作)による切削加工が注目されており、チタンの加工にはCAD/CAMが良く、適合精度も鋳造法より良好とのことでありました。TiのCAD/CAMによる歯科臨床への普及には課題も多くあるようですが、極めて近い将来に普及することが確信されました。 レーザーの補綴領域での応用としてレーザー溶接について話されました。レーザーによる溶接は、エネルギー密度が高く熱が拡散しないため、熱影響が少なく強固な溶接が可能となる。しかし溶融深度・凝固収縮・溶接欠陥等の問題もあるとのことでした。 短時間ではありましたが、先端技術の応用面だけではなく、物性・原理・現象・専門用語の定義・歴史までわかりやすく話され大変有意義な講演でありました。 ご多忙にもかかわらず倉島先生には、その後の懇親会では長時間お付き合いいただき、良いお話を伺うことができ、良きお交わりをいただくことができましたこと心より感謝申し上げます。同窓の皆様と親睦を深めることができましたことを喜び、また会の準備に労してくださいました方々には深く感謝申し上げます。ありがとうございました。 文:19回生 横山 茂 |
10月23日(土)15:00より新潟県歯科医師会館において標記講演会が開催されました。 「空穂の会」とは、新潟県新設私立歯科大学同窓会懇親会として平成8年に発足し、昨年で会の主管校7校が一順したことになり、新たな一歩として第8回「空穂の会」学術講演会が開催されました。 本年は主管校神奈川歯科大学の口腔生理学教室教授で脳神経科学、老年学が専門の小野塚實先生に『噛んでボケは予防できるか?』と題して講演をしていただきました。 痴呆(病的ボケ)は記憶障害(記憶力の低下)に端を発し、判断力の低下、人格の変化などさまざまな症状が生じ、日常生活に支障をきたし介護が必要になるとのことでありました。また少子化を伴う日本では高齢痴呆患者の増加は、医療経済を圧迫するだけでなく、痴呆老人を抱える家庭では深刻な問題であり、痴呆疾患の原因究明とその予防対策の確立は、わが国の緊急課題の一つであるとのことでありました。 痴呆は、特に前頭葉、側頭葉あるいはその中の記憶をつかさどる海馬というところが損傷を受けることで症状が発現します。 脳梗塞がきっかけで痴呆が生じた方が、患者自身が噛んで食べることと適切な介護が伴うと病状が回復してくることを,往診しておられる歯科医はよく経験されるそうであり、このことを動物実験およびヒトボランティアを用いたfMRIにて検索され、その結果について話されました。 咀嚼機能低下処置を施した高齢期のマウスには海馬機能の低下が生じたが、若齢マウスにおいてはこれらの変化は見られなかったそうである。またヒトボランティアによるfMRIでの検索において咀嚼が海馬を活性化した。 聴講者対象に記憶障害をチェックするテストをされたが、かろうじて全問正解し、今のところ病的ボケはないようであり安心しました。 咀嚼機能を維持することは、記憶障害を予防するには重要なことが良く理解でき、わが国の緊急課題にわれわれ歯科医の果たすべきことがあることを認識でき、大変有意義な講演でありました。 懇親会は地震で大揺れの中、ホテルイタリア軒にて行われました。中越地震で被災されたかたがたの一日も早い復旧をお祈りいたします。 文:19回生 横山 茂 |
会員発表 山崎和久:11回生 新潟大学歯学部口腔生命福祉学科 口腔衛生支援学講座 |
| 平成16年4月10日(土)午後3時から神奈川歯科大学同窓会新潟県支部の総会をホテルイタリア軒で開催致しました。 総会は、中川支部長の開会挨拶に始まり、平成15年度会務報告並びに一般会計報告がなされ、続いて平成16年度事業計画、同じく一般会計予算案が可決されました。また、本部総会、時局報告がなされ大鳥居副会長の挨拶で閉会となりました。 総会後、本年新設された新潟大学歯学部口腔生命福祉学科口腔衛生支援学講座の山崎和久教授(本会11回生)をお迎えし「歯周疾患と全身疾患の関係」と題し講演をしていただきました。本年度新設されたばかりの口腔生命福祉学科の紹介、今後の課題などを含め説明を頂いた後、今話題の歯周病と全身の関係について解りやすくご説明していただきました。 全身状態が歯周病発症の引き金になったり,歯周病を悪化させたりする。糖尿病で高血糖下では免疫担当細胞の機能低下、ケミカルメディエーターの過剰産生、コラーゲンの分解促進により歯周病の発症や憎悪を招くので、血糖コントロールが重要である。抗癲癇薬(ジフェニールヒダントイン)・降圧剤(ニフェジピン)・免疫抑制剤(シクロスポリン)などの長期服用により歯肉増殖を招く。喫煙による有害物質(ニコチン・タール・一酸化炭素など)により炎症のマスキング効果・免疫担当細胞の機能低下や不調和・線維芽細胞の機能低下により、歯周病の発見が遅れ・歯周組織の破壊が進み・良好な治癒が得られない。過度なストレスは、内分泌系に影響を与え、免疫抵抗力を低下させる。閉経後の女性ホルモンのエストロゲンの低下は全身の骨の無機質の密度が低下し骨粗鬆症を引き起こしやすくなり、歯槽骨の密度も低下すれば歯周病も進行しやすくなる。 さらに歯周病が全身に対してさまざまな影響を及ぼしている可能性がある。なかでも歯周病と脳卒中・狭心症・心筋梗塞(歯周病菌血中へ→血管にアテローム性プラークの堆積→血管の狭窄・動脈硬化→血流低下・血管が詰まる・破裂する)、感染性心内膜炎(心臓弁膜症などに菌血症が起きる)、糖尿病(炎症や感染の持続→血中のサイトカイン:TNF-αなど増加→インスリン抵抗性上昇→高血糖)、肺炎(口腔内細菌や炎症性サイトカインの誤嚥による)、低体重時出産(歯肉炎→血中プロスタグランディンの増加→子宮の収縮早める→早産・低体重時出産)への影響について説明していただきました。 歯周病が影響を及ぼしていると思われる疾患の中には単に併発するような生活習慣が存在している可能性もあり、その関連を調べるために現在臨床研究を進めておられるとのことでありました。 講演後、盛大にかつ和やかな内に懇親会を開催し、さらに2次会へと繰り出しました。 |
| 第24回 稲岡会総会:ホテルイタリア軒 会員発表 山崎和久:11回生 新潟大学歯学部口腔生命福祉学科 口腔衛生支援学講座 |
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